シールの材質について
ここでは特に、シールおよびその台紙についてご説明いたします。
タック紙とは「のり」のひいてある紙の総称ですが、その主な材質には次のようなものがあります。
上質タック
100%パルプの印刷用紙で表面塗工がされていない用紙がベースのタック紙です。コピー用紙や書籍などに使われていることが多い用紙です。したがって、光沢はほとんどありません。価格はもっとも安価です。
アートタック
表面塗工を施された紙で、光沢・ツヤがあるのが特徴のアート紙がベースのタック紙です。タック紙としてはポピュラーです。
ミラーコートタック
表面塗工を施された紙で、光沢・ツヤがあるのが特徴のアート紙がベースのタック紙です。タック紙としてはポピュラーです。
マット(コート)タック
塗工紙の中でも光沢が抑えられており、質感のあるマット紙をベースにしたタック紙です。光沢が押さえられているため光の反射が抑えられています。
フィルム素材について
「紙」以外にもこれらのフィルム系素材が用いられ、シールの基材や表面加工に使用されています。
ユポ
ポリプロピレン樹脂を主原料とした合成紙です。ユポは水に強く、破れにくいため、フィルム系のシール素材として最もメジャーな素材です。紙とプラスチックフィルムの長所を持っており、その特徴によりシール以外でも様々な分野の印刷物に活用されます。
薬品の表示シールにも使われています。
PET
ポリエステルフィルムの略で、耐熱性・透明性に優れ、白・透明・マット・発泡・蒸着など、様々なタイプがある基材です。ユポ紙よりも耐水性・耐久性が高く、表面保護の機能も有しています。原則的に燃焼しても有毒ガスがでません。近年では、塩ビ素材にとってかわるフィルム素材です。
PP
ポリプロピレンフィルムの略で、耐水性や曲面への貼付にも優れいてます。単独で表面基材として使用することもできますが、表面基材の上に貼る加工用(ラミネート用)に使われることも少なくありません。グロス(ツヤ有り)・マット(ツヤ消し)タイプなどがあり、光沢・高級感を出したいときなどにも使用されます。
塩ビ
伸び縮みする印刷素材で、緩やかな曲面にも貼ることができます。耐久性に優れ、長期間の使用に耐えるため、トータルコストの削減にもつながります。燃焼することで有毒ガスが発生する場合がありましたが、現在では燃焼しても有毒ガスが発生しないタイプの塩ビ素材もあります。
シール台紙の材質について
この台紙、「セパレーター」と言って、タック紙と台紙がくっつかないように鑞(ロウ)がぬってあります。
このシールの「縁の下の力持ち」、お近くにシールがありましたら、よくご覧ください。実は厚みや色が違うのです。
一般的にクリーム色のものや水色のものがあります。
全てを水色のセパレーターにしないのは、台紙の厚みが印刷時にクッションの役割をしているためで、凸版印刷(ハンコを上から押すような印刷)のシールでは、台紙が厚い方が印刷しやすいため、機械貼りのとき以外は一般的にクリーム色のクラフト・セパレーターを使います。水色の台紙は(透過式)とも言い、クリーム色にくらべて紙の厚みが薄いのですが、シールを手ではなく機械で貼る(機械貼りする)時にシールの枚数を数えるために用いられます。機械についているカウンターは、シールに光を当ててできた影を数えてシールの数をカウントします。そのため影がうつりやすい薄い台紙にするのです。
また、どんなタック紙にもこの2種類の台紙があるかというと、よく使われる上質タック、アートタック、ミラーコートタックなどにはもちろんどちらも用意されていますが、特殊なタック紙の中にはグラシン・セパレーターとセットされたものが無い場合もあります。そのような際には、わざわざ専門業者に依頼して、ついているクラフト・セパレーターを一旦剥がして、グラシン・セパレーターに貼り替えたうえで製品のシールに仕上げます。
このように「たかが」シール台紙とはいえ、用途によって厳密な使い分けが行なわれているのです。
グラシン・セパレーター
光を透過するので、光学式ラベル読み取り機で枚数を確認する、機械貼り用の巻取りシールの剥離紙として使用されます。薄くカールしやすいため、平版の印刷には適しません。
クラフト・セパレーター
一般的な剥離紙として最も利用頻度が高い印刷用素材です。